バリュー投資 銘柄の選び方

「よい会社」と「よい投資先」は違う、という話~実力と評価に差がある企業を探そう~

ずいぶん昔の話ですが、私の最初の投資銘柄は、ハンバーガーショップの「モスバーガー」を展開するモスフードサービスでした。モスのハンバーガーは、おいしく健康的で、とてもよい会社に思えましたし、1万円分の株主優待がほしい、という小市民的な動機もあり、株を買いました。

しかし、しばらくしても株価はぜんぜん上がりません。それどころか決算が発表されると、株価はじわじわ下がります。前年に比べて利益は伸びているのに、なんで株価が下がるのか?とても不思議でした。

でもその理由は、いたって単純でした。モスがよい会社だということは、みんな知っていて、最初からそれ相応の株価がついていただけなのです。

株価が下がったのは、皆の高い評価(株価)より、モスの利益(実力)が伸びなかったからにすぎません。株主優待の1万円をはるかに超える損を抱え、私は気づきました。「よい会社とよい投資先は違うものなんだ」と。

よい会社とは、実力のある企業です。よい投資先とは、実力よりも評価が低い企業のことなのです。

実力と評価が一致していないから、その差が縮まった時に、株価が上がるのです。単によい会社を選んでもだめだということです。初心者が初めて買う株は、よい会社なのだけれど、それ以上に高い評価がついてしまっている株が多いようです。

これでは利益を上げることはできません。考えてみれば単純な理屈ですが、初心者が陥りやすい最初の罠がこれです。投資で必要なのは、単に企業の実力を見抜くことだけではありません。ましてや株価を予測することでもありません。

投資においてもっとも重要なことは、「実力と評価の“差”を見抜くこと」なのです。

株価は、「バリュー」と「バイアス」で構成されている

実力と評価の“差”が生まれる時こそ、投資のチャンスです。その差は、皆が“理性”でなく、“感情”にもとづいて行動している時に生まれます。人の感情は、企業の真の実力を見る目を曇らせ、その評価をゆがませるからです。このゆがみのことを、バイアスといいます。

株価は、バリュー(価値)とバイアスをもとに日々揺れ動きます。バリューとは、企業の「長期的経済的価値」であり、バイアスとは、企業への「短期的感情的評価」です。

株価は、短期ではバイアスに左右されますが、長期では、バリューに収れんしてゆきます。バイアスが生まれるのは、不祥事・裁判・下方修正などの一時的な問題の発生です。

たとえば、ある企業が業績の下方修正を発表したら、「売り」ではなく、ひょっとすると「買い」かもしれません。理性を失った投資家が、株を叩き売り、株価が、一時的に実力を下回るからです。

ライブドアショックでは、関連銘柄が大きく売り込まれましたが、実際に、価値のある企業については、いずれも元の水準まで株価は戻しました。一時の悲観から、実力以下まで売り込まれた銘柄は、実は「買い」なのです。

バリュー(割安株)投資銘柄の選び方の秘訣を一言で言うと、「過小評価と、過剰反応を見抜くこと」となります。過小評価を見抜くには、人が見ていない価値を見出す力が必要です。過剰反応を利と捉えるためには、人と逆に動く勇気が求められます。

そう考えると、自分で投資をすることは、とても大変に見えるかもしれません。でも、あきらめないで経験を重ねていくうちに、きっと成果が上がってきます。6ヶ月学び続けると最初の成果が見えます。2年続けると人は、まったく変わります。